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3月1日の雨 [人生]

雨のしずく.jpg


3月1日、雨。


運動不足なので、傘をさしてご近所散歩にでかけた。
午後1時45分、
さすがにしばらくのあいだ、
道路に、私以外の通行人を見かけなかった。


車は途絶えることがなかったけれど。


3時過ぎまで歩いて、
ズボンの膝下がびしょ濡れになった。

雨のしずく2.jpg


この前の続きだけど、

結局は、世間一般によくいわれていること、
しあわせは、ものではなくて、こころなんだってこと。
年をとると、それが実感できるわけ。


年寄りになったら、
見栄だの名誉だのなんだのって、全然関係ないのね。
他人に褒められたって、あがめられたって、
自分が不快だったら、ちっともしあわせじゃない。


大邸宅があって、世界中を旅行できて、贅沢ができても、
こころに不満をかかえていたら、しあわせじゃない。


お義母さんは、交通事故に巻き込まれて、
何度も入院して、何度も手術して、
杖を突き、最後は車椅子に頼るようになっても、
毎日を楽しく生きていた。


こころがすごく強い人で、
依存心や依頼心がまったくというほどなかった。


私たちは、あんなに何度も入院して痛い思いをして、
つらいだろうな、
という目でしか見ていなかった。


お義母さんは、自分名義の土地と家を持っていて、
家の二階は、ひとに貸して家賃がとれるようになっていた。
連れ合いの姉たちが必死に働いて、
32歳で幼い子供4人を抱えた未亡人になってしまった母親の
老後も考えて贈ったのだ。


ところが、これも世間によくある話で、
お義母さんは、姉たちの大反対を押し切って、
長男と同居、家と土地の名義を長男に変えてしまった。


それから十数年後、バブルがはじけて、
長男の経営していた会社も破綻、
家も土地も他人の手に渡り、
離婚こそしなかったが夫婦仲が悪くなって、
お義母さんは、放り出されてしまった。


それから、夫のお墓に近い場所に、
安い汚い小さなアパートを借りて
一人暮らしを始めたのだ。


まあ、世間にざらにある典型的な話だが、
長男との関係も、その姉との関係も悪化して
精神的にもいろいろ辛かっただろうと思う。


お義母さんの風呂もないアパートを訪ねるたびに
私たちは、お義母さんの不幸に胸を痛めていたが、
不幸にとらわれていたのは、私たちのほうだったのだ。


お義母さんは、近所の市民農園で野菜を育てたり、
様々な植木鉢に花を植え、育て慈しむことを、
こころから楽しんでいた。
「すごくできがいいでしょ」と収穫した
自慢の長ネギや小松菜を何度も宅急便で
我が家に送ってよこしたが、
そんな荷造りさえも楽しかったに違いない。


社交的な性格で、
大勢の昔からの友人との交流を欠かさず、
様々なイベントやお祭りに参加して、
大いに人生を謳歌していた。
訪れるたびに、友人との記念写真を何枚も見せられたものだ。


子育てに悩むこともなく、
女であることの不自由さからも解放され
人の目を気にすることもなく、
自由気ままに生きていける、
それに比べたら、貧しさやこれまでの不幸なんか、
物の数ではない。


しかも、末の息子がちゃんと気にかけて、
定期的に夫婦で顔を見せにくる。
成長した7人の孫がかわるがわるやってきて、
手や足になってくれる。


いまが一番しあわせ。


という言葉に、嘘、偽りはなかったのだ。



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